オーストラリアの生物多様性ホットスポット ~最後の楽園

 
NHKスペシャル「ホットスポット 最後の楽園」公式ページ「生物多様性年」と位置づけられた2010年を受け、始まった2011年。

昨年10月には、当サイトでも「固有種1,300種以上!オーストラリアに見る生物多様性」という特集記事をアップしましたが、今年に入ってからも、様々なメディアで生物多様性が取り上げられています。

今月からは、NHKでも「ホットスポット 最後の楽園」と題た全6回のシリーズ番組を放送。世界6ヶ所の“生物多様性ホットスポット”を毎月1ヶ所ずつ紹介していく内容になっています。初回は1月30日、オーストラリアは第4回(4月)に登場予定だそうです。

そこで番組を見る前に、予備知識を頭に入れておけば楽しさ倍増♪ 

…というわけで、ホットスポットの定義とオーストラリアのホットスポットについて、まとめてみました!

 

生物多様性ホットスポットとは?

赤土の荒野が広がるオーストラリア内陸部に棲むサンドゴアナ

驚くほど豊かな自然が広がり、そこにしか生息しない珍しい生き物たちが暮らす地上の楽園。かつて、地球上のそこかしこに存在した生物多様性に富んだ美しい自然=楽園は、今、急速に失われつつあります。

野生動物たちにとって、今の時代は常に危険と隣合わせその原因は様々。ですが、そのほとんどは人類が及ぼした影響によるものといえるでしょう。開発による直接的な影響だけでなく、人類が排出する様々な汚染物質で環境が変化し、これまでは当たり前のようにあった自然がどんどん破壊されています。

そんな、日々着実に自然破壊が進む地球上において、既に原生の自然の70%を失い、危機に直面している場所があります。

しかもそこには、地球上すべての植物の50%、ほ乳類、鳥類、両生類といった脊椎動物の42%が生息し、珍しい固有の生き物たちが集中しています。そして残念なことに、そのほとんどが絶滅の危機に瀕しているのです。彼らに残された場所は、もう地球上の陸地のたった2.3%……。

限られた面積に残された生き物たちの最後の楽園、それが生物多様性ホットスポットなのです。

 

世界のホットスポット

豊かな自然があってこそ、数多くの命が育まれる

ホットスポットは、「地球規模で生物多様性が高いにも関わらず、破壊の危機に瀕しているため、優先的に保護・保全すべきエリア」とされています。

1988年にイギリスの生物学者ノーマン・マイヤーズ博士によって提唱されたこの概念に基づき、コンサベーション・インターナショナル(CI)が2000年行った地球規模での生物多様性再評価の結果、緊急を要するエリアとして世界34ヶ所を「生物多様性ホットスポット」と認定しました。

  • アフリカ=8ヶ所
  • アジア太平洋=13ヶ所
  • ヨーロッパ・中央アジア=4ヶ所
  • 北・中央アメリカ=4ヶ所
  • 南アメリカ=5ヶ所

こうしてみると、アジア太平洋地域はホットスポットが数多く点在していることがわかります。ちなみに日本も、全土がホットスポットの対象です。

 

オーストラリアのホットスポット

アジア太平洋地域に含まれるオーストラリアにおいては、「オーストラリア南西部」がCIによって認定されたホットスポット。これについては、下で詳しくご紹介することにして…、オーストラリアには、この他にも独自に定められた15のホットスポットがあり、保護・保全の対象となっています。

オーストラリアの15国立生物多様性ホットスポット

※NHKスペシャルで取り上げるのは、以下のCI認定ホットスポット「オーストラリア南西部」です。

 

ホットスポット・オーストラリア南西部

美しい自然が広がるオーストラリア南西部

ホットスポット・オーストラリア南西部マップCIによって認定されたホットスポット「オーストラリア南西部」は、西オーストラリア州都パースを囲む、356.717平方キロメートルのエリア。

北は世界遺産でもあるシャーク湾から、南端部を含み、そこからさらに西のエスペランスやナラボー平原へと繋がる保護区も含まれています。

このエリアは、降雨は冬場に集中し、夏場は乾燥しているため、栄養が乏しい土壌に適したユーカリ類や低潅木が生い茂る地中海性の生態系。

動植物ともに固有種が多く、他では見られない珍しい動物や爬虫類が生息していることでも知られています。

絶滅危惧種のナンバット(フクロアリクイ)中でも、この地域のみに生息する有袋類のナンバット(フクロアリクイ)、ハニーポッサム(フクロミツスイ)、爬虫類のウェスタン・スワンプカメは、急激な個体数減少で絶滅の危機にあります。

また、鳥類のレッド・キャップド・パロット(ユーカリインコ)もこの地域の固有種ですが、個体数減少が危惧されています。

これら数多くの動物たちの生息地が、急速に奪われてしまった最大の原因は、農地開発。農業の拡大により、広範囲に渡る肥料の使用がさらに加速させています。

また、キツネやネコといった外来種が持ち込まれたことも原因のひとつ。早急に対策を打たなければ、この類稀なる豊かな自然が再び戻ることはないでしょう。

【あわせて読みたい】
NHKスペシャル「ホットスポット 最後の楽園」公式サイト
コンサベーション・インターナショナル(CI)日本語サイト
生物多様性ホットスポット by CI日本語サイト
生物多様性ホットスポット・オーストラリア南西部 by CI日本語サイト
オーストラリア政府認定15の生物多様性ホットスポット(英語) by オーストラリア環境庁
ジャパン・ホットスポット

注意)記載の情報は2011年1月時点のものです。

この記事を書いた人
Miki Hirano平野 美紀 icon-link icon-twitter icon-facebook icon-google-plus
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報を発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住18年。
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