Day 4 ビクトリア州の秘境、夕暮れに染まるピンク・レイクへ -シドニー~ダーウィン21日間 7千キロ
2015年5月27日から21日間かけて、キャンピングカーで陸路を辿り、冬到来のシドニーから熱帯のダーウィンを目指したオーストラリア縦断の旅の記録です。
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第4日目: 5月30日 ムンゴ国立公園からマレー・サンセット国立公園
◎本日の走行距離=319km
今朝は、朝ごはんも食べずに出発する。というのも、再び未舗装の道を100km近くいかなければならないからだ。そういえば、昨日の午後、トイレ休憩を兼ねて、ムンゴ国立公園のインフォメーション兼展示館に寄ってみたところ、以前訪れた時とは打って変わって新しくなり、音響設備なども整っていて驚いた。電気も来ていないこんな僻地に、これだけの設備を作るのは大変なことだ。観光地としてポピュラーになり、訪問者も増えたのだろう。
音響設備も整って、新しくきれいになったムンゴ国立公園の展示室
けれども、ガイド同行でなければウォール・オブ・チャイナに近づけなくなってしまったのは、魅力半減といったところ。また来たいか?と聞かれたら2つ返事とはいかない感じ… それよりももっと残念だったのは、古代にこの辺りに生息していたという巨大なウォンバットの親戚「ディプロトドン」の模型がブザイクになっていたことかも(笑)
以前はかわいいぬいぐるみだったのに、ブサイクなプラ模型になっていたディプロトドン
ちなみに、このムンゴ国立公園一帯は、「ウィランドラ湖群地域」という世界遺産に指定されていて、名称が“湖群”となっているばかりか、Google Mapの地図上でもたくさんの湖が表示されているが、実際には、湖はほぼひとつもない。あったのは古代の大昔のことで、現在はほとんどすべて干上がっている。相当な大雨が降らない限り、水は一滴もない。
さて今日は、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州からビクトリア(VIC)州へと州境を超える。ムンゴ国立公園は、ニュー・サウス・ウェールズ州にあるが、一番近い町らしい町は、昨日入ってきたNSW州側のバルナラルドか、VIC州側のミルドゥラとなる。人口はミルドゥラのほうが圧倒的に多く、また、メルボルンからもアクセスがしやすい。ビクトリア州は、オーストラリア大陸の中では一番小さな州ということもあり、主要幹線道路を中心とした道路整備が割としっかりしている。
朝5時半に起床して、寝床もそのままに、荷物が落ちないように布団の上に放り投げて出発!キャンプ場を出ると、また、ガタガタの悪路が待っていた。。砂地が多いため、大雨が降ってぬかるんだところへ溝の深いタイヤを掃いた4WD車が走行すると、轍(わだち)ができ、それが乾くと、そのまま深い溝が刻まれた凸凹の道となってしまうのだ。そんな轍がいくつもできているため、路面は洗濯板のように波打っていた。ガタガタというよりは、もっと小刻みにビリビリとしびれるような振動が、路面から絶え間なく伝わってくる。
平均走行速度は、時速35~40kmくらいか。なかなか前に進まない。それどころか、途中な~~~んにもない!!もちろんトイレだってないから、途中で催したら大自然のトイレだ(笑)
小一時間走って、いよいよお尻の感覚が麻痺し始めた頃、目の前に2つの黒い影が飛び出した!カンガルーの親子が車の前を横切ったのだ。急ブレーキをかけると後輪がスリップし、車全体がお尻を振ってゆらゆらと小刻みに揺れる。時速は10kmくらいにまで落ち、カンガルーはそのまま走り去って、草むらの中からこちらを見ている。カンガルーを横目で見ながら、徐々に加速。轢かなくてよかった~ そして何より、事故らなくて本当によかった。こんな携帯電話も使えないようなところで事故ったら、当分助けに来てもらえない。
早朝の時間帯は、こんな風に野生動物の飛び出しが多いため、慎重に運転しなければならない。舗装路に到達するまであと少し。がんばっていこーーーーっ!
キャンプ場を出発して3時間が経とうという頃、突然、舗装路が現れた。地図上で確認していたより、5~6kmほど手前の地点のようだ。よかった~~!!舗装路に出ればこっちのもの。ミルドゥラの町まで後少し。快調にキャンパーを走らせる。そういえば、この先の川を超えたらもうVIC州だった。なんの州境ポイントもなくて、ちょっとつまらない…
#Day4 #NSW 州と#VIC 州の州境の町。川を越えるとビクトリア州。 #SydneyDarwin21Days #RoadTrip #Australia: from #Sydney to #Darwin pic.twitter.com/YL82e1Zpgj
— 平野美紀 Miki Hirano (@mikihirano) 2015, 5月 30
ミルドゥラでランチをとろうと計画していたが、町までたどり着く前にお腹の虫がぎゅーぎゅーと騒ぎ出して、途中のトイレ休憩でチョコ・デーニッシュとバナナをむしゃむしゃと食べてしまった。そういえば朝ごはんを食べてなかった、、ええい、こうなったらコーヒーも飲んでやる! お腹が満足したところで、再び車を走らせ、しばらく走るとミルドゥラの町に到着。大きなスーパーマーケットやシドニーにもよくあるチェーン展開の小売店などが立ち並んでいる様子から、ミルドゥラの町の大きさがよくわかる。とりあえず、この先3~4日分の食料を仕入れて、今日の目的地、マレー・サンセット国立公園を目指す。
#Day4 ビクトリア州最西の町ミルドゥラ。柑橘系フルーツの産地であり、近年はワイン生産も盛ん。 #SydneyDarwin21Days #RoadTrip #Australia: from #Sydney to #Darwin pic.twitter.com/lAerbbezgn
— 平野美紀 Miki Hirano (@mikihirano) 2015, 5月 30
マレー・サンセット国立公園は、私がビクトリア州政府観光局の日本語サイトに関わった時から、一度は行ってみたいと思っていたところ。バードウォッチングのメッカだそうだが、一番の見どころはピンク色の塩湖だ。高濃度の塩水で満たされた湖は、バクテリアの働きでピンク色にみえるという。湖はいくつかあるのだが、ほとんどは4WD車でのみアクセス可と規制されており、一番手前の湖のみ、2WD車で行くことができる。
午後3時過ぎ、ミルドゥラから160kmくらい走ったところで、ようやく、マレー・サンセット国立公園へと続く道の入り口にたどり着いた。が、国立公園へと続く道は、また未舗装路!!お尻のしびれもようやくマシになってきたのに、またか…orz
かといって、ここまで来たのに引き返すのはしゃくだから行くでしょう、当然。幸い、今回の未舗装路部分は10km程度らしい。再び速度を落として、凸凹道を進む。またしても、ビリビリという微振動が路面から伝わってくるけれど、この道のほうが、若干路面がなめらかで振動が弱いみたいだ。未舗装路に入ってからちょうど10km程度のところで、マレー・サンセット国立公園の看板が出現。湖が一望できるポイントまで移動する。
#Day4 #オーストラリア 縦断7000km、4日目のハイライトは夕暮れのピンクレイク。海水の八百倍濃い塩水湖。βカロチンを多く含んでいるためピンク色に見える。 #SydneyDarwin21Days #Australia #VIC pic.twitter.com/JyLnMOdBl2
— 平野美紀 Miki Hirano (@mikihirano) 2015, 5月 30
日没まであと2時間ほどとなり、湖の周りを散策しながら、撮影ポイントを探す。いよいよあと30分ほどで日没という時間になった頃、西の空に雲が張りだして太陽を隠してしまった。また、昨日みたいにサンセット撃沈か?と思ったけれど、まあまあの夕暮れシーンに遭遇できて満足、満足♪ これが見たかったんだよーっ!
#オーストラリア 縦断7000km #シドニー から #ダーウィン まで陸路で行く21日間 – Day4 #夕暮れ の #ソルトレイク ( #塩湖 ) #夕景 21 days road trip from #Sydney to #… pic.twitter.com/SS43swah5g
— Tabimagウェブ旅マガジン@Wave (@TabimagWave) 2015, 5月 30
どっぷりと日が暮れて、辺りが暗く始めた頃、再び来た道を戻る。今日の宿泊地は、未舗装路が終わったところにある幹線道路沿いの小さな町。そういえば、お店もなかったから、ミルドゥラで買い物してきてよかった。さもなくば、食いっぱぐれるとこであった。゜(゜´Д`゜)゜。
余談だけど、実はこの本日通ってきた辺りは、数年前にApple iPhone搭載の地図を頼りに車を走らせていたところ、このマレー・サンセット国立公園に入ってしまい、遭難しかけて救助されたという事件が多発し、ビクトリア州警察が Apple製品搭載の地図を使わないようお達しをだした、といういわくつきの場所なのだった。その事件を紹介した記事はこちら。 かといって、今でもGoogle Mapもあてにならないので、このルートを旅する時は要注意。
また、日本語では「ムンゴ国立公園」および「マレー・サンセット国立公園」と記載されていることが多いのでそちらに統一しましたが、現地の発音では、それぞれ「マンゴ」、「マリー・サンセット」のほうが近いです。
⇒ 5日目へ続く
◎第4日目:ムンゴ国立公園からマレー・サンセット国立公園まで、319km走破。今日までの積算距離:1,360km
<ツイートまとめ> オーストラリア縦断7,000キロ!シドニー~ダーウィン21日間ライブ(4日目)
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報を発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。
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