サイクロンによるグレートバリアリーフの被害状況
2月3日にクイーンズランド州北部を襲った超巨大サイクロン・ヤシーによる、グレートバリアリーフの被害状況がわかってきました!
先週半ば頃から今週にかけて、グレートバリアリーフ・マリンパーク・オーソリティ(グレートバリアリーフ海洋公園管理局)が、クイーンズランド州北部のサイクロンによるダメージ調査を行いました。
「グレートバリアリーフに行こうと思ったけど、どうなんだろう?」「サイクロンで被害を受けてるんじゃ、行っても無駄なのでは…」と、心配していた人も多いかと思いますので、その調査結果を簡単にまとめてみました。
グレートバリアリーフへの被害は最小限
ウィットサンデーエリアのオーフィアス島周辺撮影したサンゴ礁
まず、結論からいうと、一部に海表面のサンゴがもぎ取られてしまった部分が見受けられたそうですが、サイクロン襲来時と満潮が重なったことにより、被害は最小限に食い止められたようです。そして現在は、サイクロンから既に約2週間が経過していますが、今回被害を受けたと思われるものも徐々に回復傾向にあるとのこと。
また、水質も良好で、サイクロンが上陸したことで陸上にあった栄養分が海中に流出し、サンゴが育つ環境としていい傾向にあるそうです。今回ダメージを受けた部分も、時間とともに再成長する可能性が高いと専門家は指摘。自然の力はすごい!ですね。
全般として、世界遺産となっているエリアの大部分は、今回のサイクロンの影響はほとんどないと言え、むしろ2006年のサイクロン・ラリー時の被害跡がまだ残っているところが見られた、との報告が上がっています。
というわけで、「ケアンズに行っても、グレートバアリーフがダメになってるんじゃ、、」と悲観的になっていた人も多いかと思いますが、大丈夫です! サンゴは健在、より元気に美しい姿を見せてくれているようです♪
また、人気のハミルトン島は、まったく影響ないので心配無用です!(下のリンクから、サイクロン通過後にハミルトン島より届いたメッセージと写真をご覧いただけます)
サイクロンによる被害でクローズ中のリゾート
サイクロンの被害を受ける前の美しいダンク島
上記の通り、サンゴ礁は大丈夫ですが、一部いくつかのリゾートがサイクロンによるダメージを受け、修繕が必要となっており、以下の通りクローズしています。サイクロンの移動ルート上に位置していたダンクおよびベダラ島は、とくに被害が酷かったようです。また、クルーズ・ツアーは既に通常通りの運航となっています。
- *ダンク島(ダンク・アイランド・リゾート)-未定
- *ベダラ島(ベダラ・アイランド・リゾート)-未定
- *ヒンチンブルック島、ポート・ヒンチンブルック、カードウェル、ミッションビーチにあるリゾートやホテル全般-詳細不明
- *ヘイマン島(ヘイマン・アイランド・リゾート)-2011年6月31日までクローズ予定
- *オーフィアス島(オーフィアス・アイランド・リゾート)-一部修繕中(このリゾートは、どちらにしても毎年雨季には修繕のため短期クローズしますので、さほど影響はないものと思います)
懸念される温暖化による白化現象は?
そして、サイクロンとは関係ありませんが、もうひとつの懸念材料である、サンゴの白化現象。近年は、温暖化のせいでサンゴの白化現象が進んでいるとする見解が大半を占め、グレートバアリーフもその傾向にあるとする意見があります。
しかしながら、その一方でサンゴ自身が気候の変化に合わせて、再構築しているのではないかという見方もあります。ですから、一概に温暖化でサンゴの海が死滅するとするのは時期尚早。生き物たちの底力は、人間などにはおよびも付かないほど偉大で複雑なのですから。
ただ言えるのは、サイクロン・ヤシーのような巨大サイクロンが発生する傾向は、気候変動とともに大きくなっており、そうした瞬間的なダメージは避けられないということ。また、多雨による海水温の変化が何かしら影響を与えるのではないかということです。
ですが、これまで長い年月をかけて成長してきたサンゴが、これまでよりも早い速度で成長するとすれば、決定的なダメージにはならないのかもしれません。いずれにしても、美しいサンゴ礁の海が永遠であることを祈るばかりです。
【あわせて読みたい】
▼サイクロン影響なし!ハミルトン島からメッセージ
▼グレートバリアリーフ
※このページの水中写真は、ハミルトン島などと同じエリアであるウィットサンデー諸島のオーフィアス島から、ボートで20分くらいのところで撮影したものです。ダイビングではなくシュノーケリングで、単に海面に浮きながら、デジカメに水中撮影キットを装着しただけの簡単機材で、私(平野美紀)が撮影。水中撮影のプロじゃなくても、結構キレイに撮れますよ!
注意)記載の情報/データは2011年2月時点のものです。
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報を発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。
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