【オーストラリアの世界遺産】カカドゥ国立公園 ~静寂のサンクチュアリ
暗闇の静まり返った大湿原で、鳥達がざわめきだすと、そろそろ夜明けだ――
アウトバックと呼ばれる辺境の地に、突如現れる生き物達の楽園。
オーストラリア北部「トップ・エンド」と呼ばれる地区にある、約2万平方キロにも及ぶ壮大な世界遺産。
それが、「カカドゥ国立公園」です。
静寂のサンクチュアリ カカドゥ国立公園
カカドゥ国立公園は、世界でも希少な「複合遺産」。現在900を超える世界遺産の中でも、「文化」と「自然」の両面から遺産としての価値を認められたのが「複合遺産」です。2012年10月現在、全世界で29件のみ。
夢のように美しい湿原や森に、1,600種以上もの植物、10,000種以上の昆虫類、132種の爬虫類と60種以上の哺乳類等が生息する雄大な自然。そ して、4万年以上も前から、この地に住み続けてきた先住民族アボリジニたちの文化が見事に融合した、素晴らしい景観をみることができます。
■登録年:1981年
■登録カテゴリー:複合遺産(i)(vi)(vii)(ix)(x) ※登録基準についてはこちらを参照
カカドゥの見どころ1:イエロー・ウォーター・クルーズ
東の空に輝く明星を包み込むように、空が薄いマゼンダ色に染まり始める早朝に出発するイエロー・ウォーター・クルーズ。カカドゥ国立公園の大自然を最も手軽に体感できる、カカドゥ観光のハイライトとともいえるリバー・クルーズです。
ゆっくりと静かにボートが動き始めると、活動を始めたばかりの鳥たちや長い尾をくねらせて泳ぐソルトウォーター・クロコダイル(塩水ワニ)の姿を見ることができます。クルーズは、約2時間。1日に数本運行されていますが、鳥達が活発に 動き始める早朝クルーズがおすすめです。
カカドゥの見どころ2:ウビルーとノーランジー・ロックのアボリジニ壁画
カカドゥ観光のもうひとつのハイライトともいえるのが、文化の面から貴重価値が高いアボリジニの壁画です。
観光客が訪れやすいのは、ウビルーとノーランジー・ロック。
2万年前くらいに描かれたと推定される壁画が残されています。
カカドゥへの旅、おすすめの季節
南半球の冬(6~8月)が最もおすすめの季節です。カカドゥのあるトップエンドは、雨季と乾季に分かれますので、夏場は雨季となり、洪水等で道路が閉鎖されることもあります。11月から4月くらいまでは現地の天候をこまめにチェックし、情報を入手してからお出かけを!
カカドゥへの行き方
ダーウィンからカカドゥ国立公園へは、日帰りや1~2泊のツアーがたくさん出ていますので、それらを利用するのが最も手軽。レンタカーを利用して個人で行く場合は、ダーウィン中心部から国立公園入口まで約2時間。道は舗装路ですし、それほど難しいドライブではないと思います。
ただ、公園内には4WDオンリーの道も多数ありますので、そうしたところへ入っていくのは、慣れない人にはおすすめできませんし、レンタカー会社でも禁止にしているところがほとんどです。また、日没から日の出までの暗い時間帯は野生動物を考慮し、走行禁止。詳細はレンタカー会社で確認のこと。
宿泊施設は、ジャビルーに3軒(メルキュール・カカドゥ・クロコダイル、カカドゥー・ロッジ、オーロラ・カカドゥ ※ここはタウンから少し離れています。)、イエロー・ウォーター・クルーズの乗り場近くに1軒(クーインダ・ロッジ・カカドゥ)のホテルの他、キャンプ場などがあります。
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注意)記載の情報/データは2012年10月時点のものです。
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報を発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。
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