オーストラリアでオーロラ鑑賞はいかが?
光のカーテンが夜空にゆらめき、大地をやさしくベールのように覆う神秘的なオーロラ。オーロラが作り出す幻想的な風景は、一生に一度は見てみたい!という人も多いのではないでしょうか?
「オーロラって、北欧諸国やアラスカ、カナダなど、北極に近い国に行かなければ見られないでしょ?なんでオーストラリアなの??」と、思う人がほとんどかもしれません。でも、実は、南半球でもオーロラが出現するのです!
澄んだオーストラリアの夜空に現れる幻想的なオーロラと南十字星、そして満天の星達― それは本当に、感動的で素敵な夜になるはず。オーストラリアに過去出現した美しいオーロラ写真を織り交ぜながら、魅惑の夜空へご案内いたしましょう!
南半球のオーロラ・オーストラリス
オーロラは極光とも呼ばれ、地球の極に発する磁気、つまり、100km以上の上空で起こる放電現象です。活発な太陽活動に伴って発生する極光は、地球の北と南で対称的に発生しています。オーロラオーバルと呼ばれ、極点からリング状に発生するオーロラは、そのリングがかなり大きくなって、オーストラリア大陸にかかることも多いのです。
北で発生する極光をノーザンライツというのに対し、南はサザンライツ。別名を「オーロラ・オーストラリス Aurora Australis」といいます。その名にもなるほどですから、南極寄りのオーストラリア南部では当然オーロラが出現する、というわけです。この現象は、太古の昔からオーストラリア大陸で暮らしてきたアボリジニの人々も見ていました。そして、その現象を「ドリーミング」という伝承で伝えています。このお話は、こちらのブログでお読みいただけます。
オーロラ最多出現率は、星空が素晴らしいタスマニア
オーロラの出現率が最も高いのは、やはり最南端のタスマニア。『世界で一番空気が澄んでいる場所』と言われるタスマニアですから、夜になれば無数の星達が煌き、 くっきりとかかる天の川と南十字星。そして、それを包み込むようにそっと現れるオーロラ… それは、まさに筆舌に尽くしがたい美しさ!
タスマニアの州都ホバートは、そんな素晴らしい夜空を堪能するのに最適な環境が整っています。ホバート郊外で島内一の私設天文台を運営するシェビル・マーサーズさんも、そんなタスマニアの夜空に憑りつかれた一人。国内外の天文誌へも寄稿し、南半球におけるオーロラ研究の第一人者としても知られる天文家でもあります。記事作成のため、シェビルさんから許可を得て、彼が撮影した美しいオーロラ写真をお借りしました。
寒さ知らずの初夏のオーロラ鑑賞
極光の活動が活発ならば、ほぼ年間を通して見られるというオーロラ。ならば、夏場でも見られるはず。なのに、オーロラ観測は冬のイメージがつきまといますよね? それはなぜか?というと…
実は、北半球のオーロラで有名な場所にも、夏であってもオーロラは出現しています。でも、これらの場所はほとんど、夏は白夜となり、太陽が夜になっても沈まないため、明るすぎて見えにくいだけなのです。だから、冬の夜が長くなる時期がオーロラ鑑賞のピークになる、というわけです。
ところが、オーストラリアは、最南端のタスマニアであっても、夏に白夜になることはありません。つまり、夏場でも極光の活動が活発なら見られるのです!シェビルさんによれば、過去最も出現回数が高いのは、11月初旬頃だそうで、その頃、南半球は初夏。寒さ知らずのオーロラ鑑賞が可能なのです。もちろん、冬場でもオーロラは出現します。
どちらかといえば、夏場は暗くなるのが遅いので、やはり夜が長い冬のほうが、必然的にオーロラに遭遇できる時間が増えるといえるでしょう。ちなみに、最南端のタスマニアであっても、冬の最低気温が氷点下になることはほとんどありません。
おすすめの鑑賞地
最南端のタスマニアが最もおすすめですが、次に候補として挙げたいのはキャンベラ。キャンベラは、周囲に人工の光が少ない場所が多くあるため、環境的にもバッチリです。その次は、ビクトリア州もおすすめ。観光地として人気のグレートオーシャンロードは、夜になると素晴らしい星空が広がっています。運がよければ、オーロラがかかるグレートオーシャンロードの絶景が見られるかも?
オーロラを見るためには、まず、極光の動きを知ることが肝心。以下の「オーロラ・アクティビティ」のサイトで、現在のオーロラオーバルの出方を確認してお出かけください!
▼現在のオーロラ・アクティビティ-南半球あり(英語)
▼シェビルさんが運営するサザンクロス天文台 (英語)
Special Thanks to: (C) Shevill Mathers, Southern Cross Observatory- Tasmania.
注意)記載の情報/データは2013年10月時点のものです。
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆、ラジオ/テレビ出演などで情報を発信しながら、メディア・コーディネーターや旅行情報サイトの運営も。目下の関心事は野生動物とエコ。シドニー在住20年以上。
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